靴と足の関係


足は”第二の心臓”

足は心臓から最も遠く、しかも体の一番下にありますから、血液を送るのも返すのも、とても大きなな力が必要で、心臓のポンプの力だけでは大変です。このポンプの力を補っているのが「歩く」という運動なのです。
歩行は足(脚)の形をさまざまに変化させることにより、集中している筋肉を伸び縮みさせて血液の流れを良くしてくれます。
心臓の働きを助けてくれる、いわば第二のポンプ、それが足の役目のひとつ。
歩けば歩くほど”血の巡り”が良くなってくれます。これこそ足が”第二の心臓”といわれるゆえんです。


歩行は消化・吸収も助けてくれる

私たちが歩くとき、脚を持ち上げる役割をしているのは腸腰筋という筋肉ですが、この筋は腸のうしろ側を通って、大腿骨に付いています。
ですから脚を上下する毎に、つまりは、歩くたびにこの筋が太くなったり細くなったりして、腸を体の中からマッサージしているのと同じ効果が得られ、結果的に、歩行は消化・吸収も助けているというわけです。


老化の始まりは足もとから

歩行することの効用は、その他にもたくさんありますが、次に主なものをあげてみましょう。
歩行は、体全体のあらゆる部分を連動させる全身運動である。
空気をよく呼吸するため心肺機能が向上し、酸素を充分に取り込んだ血液が、脳細胞を浄化して、頭がすっきりし気分爽快になる。
足の筋肉を使うと、大脳への刺激反射も良くなり、寝たきり老人やボケの防止につながる。
よく歩くことにより、肥満の原因となる余剰カロリーの蓄積が避けられる。


靴は目的に合わせて選ぶ

巷では、よく「歩行はごく自然で基本的な動作なので、どこでも始めることができ、特別な道具も必要ない安全な全身運動だ」と言われます。
でも、本当でしょうか?まさか裸足で歩きませんよね。そうです。まさに靴こそが、歩く運動のための”特別な道具”に他ならないのです。


歩き方にあった靴を選ぶ

靴には全て、使用目的があります。まず、使用目的に適した種類の靴を選ぶことが大切です。
たとえば、パンプスやハイヒール、サンダルなどで長時間歩けば、たちまち足を痛めてしまいます。


足に合っていない靴を履くなら歩かない方がまし

ここで大切なことは、いくら使用目的に適した靴でも、自分の足に合ったものでなければすべて意味がないということです。
ウォーキングシューズの中には歩行のための何々の機能を搭載しているとか、人間工学的な様々な配慮がなされているとか、いろいろな特長をうたっているものが多々ありますが、どんな機能を搭載して、どんな配慮がなされていようと、足に合っていなければ全て無意味です。
足にピッタリ合い、更に使用目的にも適した靴を履き、正しい姿勢と歩き方をして、はじめて「歩き」が有効な運動となるのです。


足に合わない靴による障害

日本人は、ほとんどの成人女性の足が、何らかの障害を受けています。
婦人靴はファッション性重視で、必ずしも足のことを十分に考えて作られているとは言えません。
美しく、快適に歩ける健康な足をいつまでも保つのは、とても大切なことです。
しかし、靴への無関心や理解不足のせいで、間違った靴を選んでしまうと、様々な病気をひき起こす原因ともなります。


靴は履き分けが大切

スニーカーを履いて颯爽と通勤しているアメリカのビジネスマンの姿が、テレビなどで見かけられるようになってから、もう何年になるでしょうか。
一転してわが国のビジネスマンの出勤姿に目を移してみますと、十年一日の如しで、ほとんどの人が相も変わらずパンプスかビジネスシューズです。


靴には全て使用目的がある

何もスニーカーやウォーキングシューズだけが良く、パンプスやサンダルが悪い靴だといっているわけではありません。
スニーカーにはスニーカーの、パンプスにはパンプスの使用目的があるのです。
だから、その使用目的に沿った履き方をするようお勧めしているのです。
ハイヒールのパンプスでも、冠婚葬祭やパーティー、あるいは今晩はデートなのでビシッと決めたいとうときに、足に合っているものを、短時間だけ用いるのなら使用目的にもかなっていますし、体にもほとんど支障はありません。
ところが多くのひとは、、通勤でも、オフィスでも、ショッピングでも、旅行でも、果ては軽いウォーキングなどでも、パンプスやビジネスシューズ一点張りです。


靴の大切な基本とは

それでは“歩く道具”としての靴は、基本的にはどのような条件を満たしていなければならないのでしょうか。
足の骨格構造を見てみますと、片足におよそ26個の骨があり、それぞれの役割を分担しています。
まず足の後半部には、足根骨(そっこんこつ)という7個の骨があり、これらを結ぶ関節は、ほとんど動かず、もっぱら体重を支える働きだけをします。足根骨の前には5本の中足骨(ちゅうそっこつ)という骨があって、これは主に、衝撃吸収とバネの働きをします。
いちばん先端にある趾骨(しこつ)は体のバランスをり、歩くときに地面をグリップし、蹴って前進させるのが主な役割です。 靴の大切な基本的構造は、こうした足の構造に沿って作られていなければなりません。
まず第一は、紐でしっかり足に固定できることが望ましいと言えます。紐付きは足に固定するだけでなく、足が夕方や飛行機の機内などでむくんで大きくなったときの調節機能も果たしてくれます。そして、靴の後半部は、体重を支えてくれる足根骨の役目を助けるように、びくともしない作りになっている必要があります。
そのために足根骨から中足骨にかけての中底部には、シャンクと呼ばれる鋼鉄製のバネが入っていますし、踵部のアッパー(甲部)には月型という芯が挿入されて、体重をしっかり支えるとともに、靴のこの部分の形を保持するようになっています。つぎに趾骨の働きを充分に発揮させるために、底はボールジョイント部でよくしなるようできていて、歩くとき趾が靴の中で自由に動くように爪先部にはゆとりが必要です。また、靴底は適度のかたさと厚みがあり、ヒールは3cm前後が理想です。
以上のように靴は紳士靴タイプが基本であり、パンプスとは対極にあります。